2010年07月24日

白馬三山縦走

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3連休で白馬三山を縦走してきました。

蓮華温泉から八方尾根までを、後立山連峰に位置する白馬岳、杓子岳、鑓ヶ岳、そして不帰キレットを経て、唐松岳と歩いてきました。

今回のハイライトは、はじめての白馬三山の杓子岳と鑓ヶ岳、そしてなんといっても不帰キレットの通過です。

いよいよ梅雨明けの様相となり、久々の夏本番の山を楽しんで来ました。

白馬駅から電車とバスを乗り継ぎ、蓮華温泉で前泊し、白馬大池〜小蓮華岳〜白馬岳〜杓子岳〜鑓ヶ岳〜天狗の頭〜不帰キレット〜唐松岳〜八方尾根へと1泊2日のちょっとハードな山歩きとなりました。

今回の出発点となる蓮華温泉まではこの時期マイカー乗入れ可能ですが、縦走となるため、八方スキー乗の無料駐車場に車をおき、白馬駅から平岩駅まで電車を利用し、平戸駅から蓮華温泉行きのバスで約1時間山道を揺られて到着しました。

蓮華温泉ロッジは外見は田舎の学校のような造りで、長閑な山間の温泉小屋です。
野天風呂が有名な温泉で、本当に山の中(山道のすぐ脇にあったりします。)に脱衣所もない湯船だけが造られているワイルドな温泉です。

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(左)薬師の湯(右)黄金の湯
この他に一番小さな「三国の湯」、一番大きな「仙気の湯」があります。
4つとも源泉が異なります。



ロッジの裏手から登山道に入り、蓮華ノ森、栂ノ森を経て1時間半ほど、展望が開けた斜面に造られた庭園のような「天狗ノ庭」が開けます。

朝日岳、雪倉山などが展望できます。

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天狗ノ庭では急に花が多くなり、この時期はイワシモツケ、イブキジャコウソウ、ミヤマムラサキ、タカネバラなどが見られます。


稜線に出ると、朝日を浴びた白馬大池の辺の山荘や色とりどりのテントが見えてきます。

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白馬大池


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大池周辺にはまだ残雪があり、雪解けた草原にはハクサンコザクラやハクサンイチゲなどが群生しており、春のような様相です。


白馬大池からは気持ちのいい稜線歩きが続きます。

ザレた斜面では、チシマギキョウやコマクササ、ミヤマダイコウソウなどを愛でながら歩きます。

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小蓮華山が見えてくる。

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振返ると白馬大池の全容が。

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高度を上げていくと、タカネヤハズハハコ、チシマアマナなども見られます。

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雲海に浮かぶ白馬連峰


【小蓮華山】
新潟県の最高峰で、標高2766m。
以前は2,769mでぢたが、2007年に山頂部分が崩落しているのが発見され、国土地理院は2008年になって測量した結果、崩落後の最高地点の標高は2766mであることが分かりました。

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小蓮華山を跡にし、白馬岳に向かう途中からウルップソウが姿を見せ始めます。

三国境を過ぎると、高山植物の種類も俄然豊富になってきます。
ミヤマシオガマ、オヤマノエンドウ、タカネツメクサ、ミヤマクワガタ、ミヤマアズマギクなど砂礫帯に見られる花々が次々姿を現わし目を奪われます。

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【白馬岳】
白馬三山の主峰、標高2932m。
三大雪渓に数えられる白馬大雪渓の上部は、日本有数のお花畑が広がり、固有種や希少種も多く、高山植物の宝庫。日本を代表する高山植物帯・特殊岩石地(蛇紋岩、石灰岩)植物群落として、1952年に、長野県側の国有林を中心に富山県・新潟県を含む広大な地域が特別天然記念物「白馬連山高山植物帯」に指定されています。白馬連山高山植物帯

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白馬岳を下って行くと1200人の収容人数を誇る日本最大の山小屋、白馬山荘があります。白馬山荘には別棟にレストハウスがあり、この標高にあってこのお洒落さは日本の山には他に例を見ません。お土産屋などもあり、下界の観光地に来たような気分になり、高山にいることを忘れさせます。

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【杓子岳】
白馬三山のひとつ、標高2812m。
後立山連峰の主稜線上にあり、登山道は西側の山腹を巻くトラバース道がメインとなっており、その途中に頂上へと至る道に分岐しています。斜面は概ねガレていて、砂利を積んだような山で、今にも崩落しそうな感じの山です。非対称山稜であり、長野県側は大きく切れ落ちています。山頂周辺はコマクサの群落地もあります。

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こんな感じの砂利の急坂を登ります。


杓子岳を下り、鑓ヶへの登りに差し掛かると再び高山植物が多くなってきます。
ジグザグの路を曲がるたびに、種類の違う花が次々に現れます。

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こんな大株は珍しい。



【鑓ヶ岳】
槍ヶ岳と区別するために、一般には白馬鑓ヶ岳(しろうまやりがたけ、はくばやりがたけ)またはこれを略して白馬鑓(しろうまやり、はくばやり)と呼ばれています。白馬三山のひとつで、標高2903m。
この山の山頂直下には石灰岩の露頭が見られ、三葉虫などの化石が産出されています。


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天狗ノ頭からのぞむ白馬鑓ヶ岳


天狗ノ頭からいよいよキレット越えが始まりです。

天狗の大下りは、上部はクサリのある岩場ですが、その後はガレ場の急斜面をジグザグに慎重に下っていきます。

キレットから緩やかに登り返し、途中小さな岩場はあるものの難なく一峰に到着します。

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不帰嶮 ニ峰北〜南


ニ峰北が不帰嶮の核心部。
ニ峰の登り始めが一番の難所(長いクサリ場)ですが、そこを登りきって梯子を渡ってしまえば、岩場を巻くように進み、最後にクサリ場はありますがあっけなくニ峰北に到達できます。

ニ峰北からは稜線を辿りニ峰南へと続き、思っていたより簡単に不帰嶮を越えてしまったという感じです。


【唐松岳】
標高2696m。山頂から東に八方尾根が延びており、これがもっとも容易な登山コースで、南の五竜岳方面、白馬鑓ヶ岳方面の縦走路が伸び、いずれも岩場や鎖場が多くなっています。特に白馬鑓ヶ岳に至る縦走路は不帰嶮と呼ばれるキレットを通過する難コースと言われています。他に、唐松岳頂上山荘より西に向かって、祖母谷温泉を経て黒部峡谷鉄道の欅平駅まで標高差2000m以上の長大な登山道があります。

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八方尾根から見る白馬連峰



[お天気メモ]
17日は九州から関東まで梅雨明けが発表され、各地で真夏日が観測
されました。18日も本州付近は高気圧に覆われ、よく晴れ猛暑日の
ところも。
白馬でも快晴となり、夏山本番の気候となりました。


[コース紹介]
白馬三山縦走 蓮華温泉〜八方尾根
(1日目)
蓮華温泉(泊)
(2日目)
蓮華温泉[約1470m]〜(100分)天狗の庭〜(80分)白馬大池〜(110分)小蓮華岳[2766m]〜(50分)三国峠[2751m]〜(50分)白馬岳[2932m]〜(20分)村営頂上宿舎〜(80分)杓子岳[2812m]〜(70分)鑓ヶ岳[2903m]〜(40分)天狗山荘[約2700m](泊)
(3日目)
天狗山荘〜(80分)不帰キレット〜(70分)ニ峰北[2742m]〜(50分)唐松岳[2696m]〜(10分)唐松岳頂上山荘〜(120分)第一ケルン(クワットリフト乗場)[約1850m])

歩行時間:(1日目)0時間(2日目)10時間(3日目)5時間30分
最高標高点:2932m 
標高高低差:(1日目)0m(2日目)約1462m(3日目)約962m
登山日:2010.7.17-19

(1日目)
蓮華温泉へはこの時期はマイカー乗入れ可能。
バスもこの時期から平岩駅からの運行が開始し約1時間。

(2日目)
蓮華温泉ロッジの裏手の登山道に入り、沢を渡り、沢に沿った尾根筋の蓮華ノ森をしばらく上がって行く。

樹林帯のジグザグの路を約1時間半ほど登っていくと、周辺が開けた天狗ノ庭に到着する。

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天狗ノ庭から再び暗い樹林帯に入り、尾根の反対側に出て、雪倉山を右手に見ながら進むようになる。

尾根の右側をトラバースするように山腹を真直ぐ登るようになり、森林限界となる稜線へとでると白馬大池が見えてくる。

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白馬大池を左手に見ながら、小蓮華山方面へと稜線を辿る。

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コマクサなどが咲くザレた路を登り、振返ると白馬大池が小さく見える。

白馬大池から1時間ほどで小ピークに辿り着くが、ここはまだ白馬大池から小蓮華山までの中間地点。

白馬岳の向こうに杓子岳、鑓ヶ岳と白馬三山の連なっているのが展望できる。

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(左)稜線上の小ピーク
(右)小ピークから見た小蓮華山への尾根路

小ピークを下り鞍部から尾根路を登り返していく。

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辿ってきた白馬大池方面を振返る。

高度を上げていくと白馬岳も姿を現し、小蓮華山のピークも近い。

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小蓮華山山頂

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前方の白馬岳を目指す。

小蓮華山山頂で路は90度左に曲がり、少し下ると白馬連峰の特徴である非線対称の広い稜線上を歩くようになる。左側が鋭く切れ落ちており、斜面にはウルップソウなどが見られるようになる。

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白いザクザクした砂利山を登っていく。

稜線上のアップダウンを繰返し、やや急坂を上がると三国境にでる。

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三国境から鉢ヶ岳方面を望む。

白い砂利山を上り、岩場を越えて、斜面が緩やかになると白馬岳山頂は近い。

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白馬岳山頂

白馬岳から白馬山荘、頂上宿舎へと下って行く。
ここまで来ると杓子岳も大きい。

頂上宿舎への下らず、分岐で直進し、頂上宿舎のテント場を巻くように路は続いている。

一端杓子岳との鞍部に大きく下り、杓子岳へと登り返す。

杓子岳では、山頂を巻くトラバース路が鑓ヶ岳へと続いているが、山頂へは左手に
直登するガレ場の路が切られている。

山頂の反対側は足がすくむほどに大きく切れ落ちている。

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杓子岳山頂

山頂から稜線を辿り、斜面を下り、元の巻き路に合流する。

いよいよ本日最後の山、鑓ヶ岳へと差し掛かる。

岩場の急登が続き、鑓ヶ岳山頂の分岐に出る。

分岐の左手が山頂となっており、直進下り方向が、本日の宿泊地天狗山荘方面となっている。

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斜面を下り、路は右に大きく旋回し、鞍部で鑓温泉への分岐を過ぎ、やや登り返す。

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鑓温泉への分岐

路は左方向に曲り、稜線を辿り、少し下っていくと天狗小屋が見えてくる。

(3日目)
天狗山荘の前を通り、稜線に戻る。

広々とした見通しのよい路を通り、少し登ると天狗ノ頭にでる。

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(左)朝日を浴びる天狗ノ頭(2812m)
(右)天狗ノ頭から唐松岳方面への路

天狗ノ頭からは再び非線対称の尾根筋を緩やかに下っていく。

やがて天狗の大下りへ入り、岩場とガレ場を急降下する。

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前方にはに鋭い不帰嶮が垂直に連なっている。

ゆっくりと慎重に下り、キレットに降立つ。

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(右)キレットより天狗の大下りを振り返る。

ここからハイマツ帯のところどころ岩場のある斜面をトラバース気味に登っていくと、一峰に到達する。

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一峰の頭

一端岩場を下り、いよいよ不帰嶮の核心部であるニ峰への鎖場がはじまる。

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一峰からのぞむ垂直に立つ不帰嶮ニ峰へのルート

ほぼ垂直に岩場を上がり、梯子を渡ると、岩場を左から巻くように路が続いている。

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垂直な鎖場と断崖絶壁の岩の隙間に掛けられた梯子

クサリや梯子が続き、ニ峰北に到達する。

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ニ峰 北峰

ニ峰北からは稜線を辿っていくと、ニ峰南へとでる。

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ニ峰 南峰

ニ峰南から再び下り、岩稜帯を右から巻きくように唐松岳への登り路が続いている。

唐松岳直下の岩場を通過し、唐松岳山頂に至る。

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唐松岳から唐松岳頂上山荘へと下り、山荘を左手に折れ、八方尾根を下る。

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[山の情報リンク]
□山小屋情報
蓮華温泉〜唐松岳稜線の山小屋

蓮華温泉ロッジ
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標高1475mの蓮華温泉の一軒宿で、野趣あふれる野天風呂が有名。
新潟県側からの北アルプスへの玄関口の山小屋。
●営業/3月下旬〜10月中旬 ※冬期休業 10月中旬〜3月中旬
但し、車両が通行できるのは、6月下旬から10月中旬まで。
(バス運行は7月中旬から10月初旬)(予約希望)●収容/250人・テント場50張

白馬大池山荘
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標高2380m、白馬大池の辺にある山小屋。
●営業/7月下旬〜10月中旬(予約希望)●収容/200・テント場40張

白馬山荘
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白馬岳山頂直下に位置する日本最大の収容人員を誇る山小屋。
ベッドルームやオシャレなレストハウスもある。
下から仰ぎ見ると神殿のように見える。
●営業/4月下旬〜10月中旬(予約希望)●収容/1200人

村営白馬岳頂上宿舎
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●営業/6月中旬〜10月中旬(要予約)●収容/1000人・テント場100張

天狗山荘
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鑓ヶ岳と天狗の頭の中間地点にある標高2730mの山小屋。
●営業/6月下旬〜9月下旬 ●収容/200・テント場50張

唐松岳頂上山荘
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唐松岳肩に建つ山小屋。
●営業/4月下旬〜10月中旬 ●収容/300人・テント場30張


□白馬連山高山植物帯
長野、富山、岐阜に跨る白馬岳を中心とした南北に細長い30数kmもの山系の東側に広がる高山植物帯で特別天然記念物に指定されている、
爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳・唐松岳・鑓ヶ岳・杓子岳・白馬岳へと続き、さらに新潟・富山県境沿いに雪倉岳・朝日岳・犬ヶ岳周辺、また、白馬岳から小蓮華山・乗鞍岳周辺にも延びる地域。
きびしい風雪にさらされるへんかに富んだ山岳地形と、超塩基性の蛇紋岩地帯もあり、400種にも及ぶ高山植物の宝庫となっている。白馬連山高山植物帯
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posted by 山谷行蔵 at 13:05| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 山行・自然探訪委員会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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