2012年07月08日

秋田駒ヶ岳

P6300059.JPG
駒池からの男岳(2012.6.30)


秋田駒ヶ岳は、数年前、岩木山の帰りに登るつもりで山麓で一夜を過ごし、翌日は大雨のため登山を諦めて帰ったこともあり、いつか登ろうと心に引っ掛かっていた山でした。

やっと念願叶って、梅雨の合間を縫って行って来ました。

夜東京を出て、夜通し車を走らせ、昼間山で過ごし、夕方東京にとんぼ返りするという強硬スケジュールでしたが、昼間はよく晴れ渡り穏やかな山歩きを楽しむことができました。

秋田駒ヶ岳は、秋田県と岩手県に跨る活火山で、十和田八幡平国立公園の南端に位置し、男岳(おだけ)や火口丘の女岳(めだけ)、男女岳(おなめだけ、最高点1637m)からなる高山植物の豊富な山として知られています。

最近では、火口丘の女岳が1970年(昭和45年)に噴火し、山頂西部に溶岩流を堆積させ、気象庁が「噴火警戒レベル」を導入している全国25火山の一つでもあります。

駒ヶ岳からは乳頭山(烏帽子岳)を経て小白森と大白森と八幡平へつながる縦走路があります。少し外れたところには千沼ヶ原と呼ばれる高層湿原があり、「山の自然学」の著者 小泉武栄氏が著書の中で「わたしが見た湿原のなかでは一番美しい」と述べていたことが思い出されます。

この辺りの山は標高が低いため高山帯を持たず、頂上効果によって広大な偽高山帯が発達しています。

そのため、森林限界の標高は低く、高山の稜線を歩いているような雰囲気があります。

駒ヶ岳の山頂一帯には、ヒナザクラやタカネスミレ、コマクサ、エゾツツジなどの数百種類の高山植物群があり、秋田駒ヶ岳高山植物帯として国の天然記念物に指定されています。

P6300032.JPG
横長根の尾根から望む秋田駒ヶ岳。
右の黒く剥げているところが大焼砂、手前の小高い丘が小岳、
その左が女岳の一部、その奥が男岳、中央奥が横岳。

P6300034.JPG

P6300035.JPG
横長根の尾根筋を振り返る。
右に田沢湖、左奥に鳥海山が遠望できる。


そんな高山植物の豊富さを物語るように、国見温泉の登山口に入ると、盛りを過ぎたイワカガミやショウジョウバカマに混じり、マイヅルソウ、ゴゼンタチバナ、キバナコマノツメ、スダヤクシュなどが林床を飾っています。

しばらく鮮やかなブナの森の中を歩きますが、このブナ林は2次林で大木は見当たりません。

そのブナ林もそう長くは続かず、ウラジロヨウラク、ベニサラサドウダンなどの低木帯の中を進むようになり、林床には、ツガザクラやツマトリソウなどが目を楽しませてくれます。

稜線に出ると、ミヤマハンショウヅル、イワシモツケ、イワベンケイなどが目に付きます。

小岳を巻き男岳に通ずる湿原では、チングルマ、アオノツガザクラ、ヒナザクラ、コケモモのお花畑が広がり、特にヒナザクラの大群には目を見張るものがあります。

P6300068.JPG

P6300052.JPG P6300062.JPG


白馬大雪渓の上部のお花畑によく似た男岳への登りでは、ミヤマキンバイ、ミヤマダイコウソウが急斜面を黄色く染めています。

シラネアオイはジメジメした日陰に咲く花というイメージがありますが、ここでは日のよく当たるお花畑の道々に咲き誇っています。

阿弥陀池の周辺ではムシトリスミレ、イワイチョウが見られ、さらにエゾツツジやハクサンチドリが彩りを添えています。

P6300093.JPG
阿弥陀池

P6300113.JPG

P6300112.JPG
馬ノ背の稜線


この山の名物は特に大焼砂のタカネスミレとコマクサで、私はその両方が見られる2つの花期の合間にあたる6月下旬を狙って訪れたのですが、二頭を追う者は・・・ではないが、タカネスミレは終盤を向かえ、コマクサは咲き始めで疎らであり、大焼砂の山肌を染めるような大群を目に焼き付けることはできませんでした。

P6300144.JPG

P6300139.JPG P6300155.JPG
 

数え上げればきりがないほどの高山植物の豊富さがこの山の見所であることは間違いありませんが、それ以上にこの山の景観の美しさは日本でも有数のものがあるように思います。

台地上の頂上部にいくつもの火山特有の急峻な岩峰を連ね、その合間に湿原や池を配し、それにお花畑を対応させた景観は、日本アルプスでもそうお目に掛れないような箱庭的な風景を作り出しています。

特に男岳分岐から少し下った駒池から木道が続く正面に男岳を望む景観は、長閑でもあり、また南アメリカの山岳地帯を思わせるような異国情緒漂わせる光景に出会えます。

「日本山岳100景」なるものがあるとしたら、真っ先にその一つに推薦したくなるような景色です

山頂付近からは天候にも恵まれ、鳥海山や岩手山などの雄大な山並みと青く輝く田沢湖が一望できました。

P6300128.JPG
焼森山からの男岳と男女岳


[お天気メモ]
梅雨前線上の低気圧が朝鮮半島を東進し、暖かく湿った空気の流入した
九州〜四国で雨。東〜北日本は概ね晴れ。
東北の秋田駒ヶ岳でも晴れ間が広がり、終日穏やかな天候であった。


[コース紹介]
国見コース 
国見温泉登山口[約850m]〜(50分)横長根〜(40分)男岳分岐〜(50分)阿弥陀池
阿弥陀池⇔(40分)男岳山頂[1623m]
阿弥陀池⇔(30分)男女岳山頂[1637m]
阿弥陀池〜馬ノ背〜(30分)横岳山頂[1583m]
横岳⇔(30分)焼森山山頂[約1540m]
横岳〜(40分)男岳分岐〜(60分)国見温泉登山口

歩行時間:6時間(男女岳山頂まで約2時間40分)
最高標高点:約1637m 
標高高低差:約787m
登山日:2012.6.30

駒ヶ岳への最もホヒュラーなコースは、環境保護のためマイカー規制が取られて
いる駒ヶ岳西麓にある「アルパこまくさ」からシャトルバスで八合目まで行き、
男女岳を巡るルートであるが、その他国見コース、中生保内コース、乳頭岳から
の縦走コースなどがある。

国見コースは、 東北自動車道盛岡IC国道46号、岩手県道266号経由で約50分、
国見温泉にある登山口から登るルート。

温泉の手前に駐車場があるが、このコースの登山者も多くすぐに車でいっぱいに
なってしまい、道路脇に数珠繋ぎに停められている。

P6300005.JPG
森山荘脇の登山口

森山荘の脇の階段状の登山道を登り、ブナ林に入る。

所々木道も敷かれよく整備された登山道が横長根まで続く。

P6300007.JPG P6300016.JPG 

横長根を右折し、灌木帯の隙間から左手に女岳を見ながら尾根上を進む。

P6300021.JPG P6300030.JPG 

灌木帯を抜けると、前方に男岳、横岳が見え、後方には田沢湖が見えるようになる。

P6300044.JPG P6300048.JPG 
男岳分岐付近

男岳分岐で左に入り、大焼砂の斜面を横切り、小岳を右から巻き、駒池周辺のお花畑
を通り、右手の男岳稜線への急坂をジグザグに上がる。

P6300049.JPG P6300055.JPG

P6300061.JPG P6300070.JPG
(左)駒池 男岳を前方に木道が続く。
(右)男岳と横岳の鞍部へのお花畑の斜面。

男岳と横岳の鞍部に上がると、前方に阿弥陀池の湿原が広がる。

P6300081.JPG P6300089.JPG
男岳

阿弥陀池から男岳、男女岳何れも往復30〜40分程度。

P6300100.JPG P6300101.JPG
男女岳

男岳と横岳の鞍部から馬の背を経て横岳へ。

P6300103.JPG P6300110.JPG
阿弥陀池と馬の背

横岳から焼森山への往復は30分程度。

P6300131.JPG
焼森山から男女岳、男岳、横岳をのぞむ。

横岳から右(北方向)に下り、大焼砂を通り、男岳分岐で往路に合流する。

P6300137.JPG P6300160.JPG 
大焼砂

[山の情報リンク]
□山小屋情報
阿弥陀池避難小屋
男女岳直下阿弥陀池湖畔1530mの避難小屋。
P6300097.JPG
●営業/通年(無人)●収容数/20人 水場、トイレ有り

□立寄り温泉
国見温泉
登山口となる国見温泉には、「森山荘」と日本秘湯を守る会会員宿の「石塚旅館」
の2軒の宿がある。温泉はエメラルドグリーンの美しい色が特徴で、レイリー散乱
によるもので、その日の泉質・気象条件等により色が変化する。
石塚旅館
森山荘

P6300172.JPG P6300170.JPG
石塚旅館に立ち寄ったが、温泉は硫黄臭が非常にきつく、お湯は熱めで、露天風呂
は岩で囲まれたワイルドな感じで、秘湯感溢れる素晴らしい山の温泉だ。
●源泉/含硫黄炭酸水素塩泉●効能/慢性消化器病、糖尿病、肝臓病など

□十和田八幡平国立公園
北東北の青森、岩手、秋田県にまたがり、十和田湖周辺と八幡平周辺の火山群を包括
するる国立公園。1936年(昭和11年)十和田国立公園として誕生し、1956年(昭和
31年)に八幡平地域が追加され、現在の十和田八幡平国立公園に改称された。
多種多様の火山群と温泉地が多い。
秋田駒ヶ岳は十和田八幡平国立公園の南端に位置し、豊富な高山植物群を有し、山頂
周辺は国立公園の特別保護地区、国の天然記念物の指定も受けている。

秋田駒ヶ岳参考サイト
仙北市HP




101座からの山歩き TOPへ
posted by 山谷行蔵 at 08:26| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 山行・自然探訪委員会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
国見温泉からのルートもよいですねぇ。お風呂もナイスだし。
上から見たときあっちから(国見温泉)からつなげて乳頭まで歩いたら爽快だろうなぁと思いました。

それにしても山谷行蔵さんのレポってすっごい参考になります。わたしのアホレポとは比べるのも失礼かもしれませんが、これからは行きたいところがあるときは、まずはこちらで情報収集させていただきます(^_^)v
Posted by Toby at 2012年07月11日 16:07
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/278254594

この記事へのトラックバック
101座からの山歩きTOPへ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。